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第47話 北の山道に残る香り

last update publish date: 2026-09-22 11:01:55

試験取引の翌朝、帳場にはいつもより早く灯りが入っていた。

 昨日一日で動いた荷、量られた鉱石、受け取った塩と燃料、仮置きされた馬具材料。すべてを照合するには、朝の静かな時間が必要だった。

 ルイスはまだ眠そうな顔をしていたが、手だけは正確に動いている。

「鉱石の重量、引き渡し時の数値と一致。対価の塩、燃料、馬具材料も受領記録と一致。現金分も、封印に異常ありません」

「よかったわ」

 レティシア・エーヴェルシュタインは、帳簿に目を落としたまま頷いた。

 大きな利益ではない。

 だが、初めて外の商会とこちらの規則で取引した。その意味は、数字以上に重い。

 ディルク・ヴァルゼンは窓際に立ち、中継小屋の方を見ていた。

「銀狐商会の荷車は、昼前には北へ戻るそうです」

「セラフィナは?」

「出立前に、お会いしたいと」

「でしょうね」

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